フードデリバリー専門店の実際の原価率と人件費率を公開します。【ゴーストレストラン】

 デリバリー専門店の開業を開業を考えている方、多いのではないでしょうか?
 デリバリー専門店は、客席を必要としないため、通常より低コストでの出店が可能です。
 しかし、必ずオープン前に計画を立てないといけないのが、原価率と人件費率についてです。
 この記事は、デリバリー専門のゴーストレストランを経営をしてきた私が、実際にかかった原価率と人件費率をお伝えします。
 フードデリバリーやゴーストレスランの開業を検討されている方は、成功確率を上げるために、必ず最後までお読みください!
 

 私はこんな人物です。↓

 新型コロナが流行し、緊急事態宣言直後から、ゴーストレストランの新規開店から経営に携わりました。その後フードデリバリーや持ち帰り専門店の新規開店を経験しました。現場では料理を調理し、マネジメント面では人件費や減価費のFLコントロールをしてきました。  現在ゴーストレストランを含む数店舗の飲食店のマネジメントをしております。

フードデリバリーで実際に掛かった原価率 

 最初に結論からお伝えします。
  私が体験した単月の原価率は32%~37%です。
 32%~37%と書いたのは、32%の月もあれば、37%の月もあったということです。
 経営していた店舗は、牛タン専門店やカレー専門店、とんかつ専門店等の様々な業態を一か所の厨房でつくり、デリバリーするゴーストレストランでした。
(ゴーストレストランについて、イメージがわかない人はこちら→https://www.tencho1.com/?p=682

 

32%~37%だとずいぶんと開きがあるな~

 このように思われる方も多いのではないでしょうか?
 私自身、客席のある通常の飲食店の経営も経験していますが、デリバリー専門店の原価率は特に安定せず、月によって大きく変動がありました。
 その理由を解説します。

フードデリバリーの原価率が安定しない理由

①クーポン内容の設定により、原価率が大きく変わる。

クーポン例
例1.ご注文をしてくださった方に、コーラ一本プレゼント
例2.1個のお値段で2個の商品をプレゼント(ポテトやサラダ等)
例3.3000円以上のご注文で500円のお値引き
 
 ピザ屋さんでよく見かける、「1枚のピザを注文すれば、2枚お届けします。」のように、デリバリー業界は、とても好条件なクーポンのプロモーション合戦です。
 上記のプロモーション例を見て頂ければ分かると思いますが、プロモーション内容によっては、原価率高騰の理由になります。
わたし
わたし

売上を獲得するためには、原価率を上げてでも、好条件のクーポンを提示する必要があります。

②送料の設定により、原価率が大きく変わる。

 出前館やウーバーイーツ等のキャリアは、自由に送料の設定が可能です。
 土日のように注文が多く入る日は送料を高く設定し、注文があまり入らなければ送料を低くします。
店長
店長

今日は注文が全く入らない~。送料無料でもいいから注文が欲しい!

 
 私の店舗でもよくこういった日がありました(笑)
私の店舗では送料を、無料~500円の幅で設定を変えていました。
 平均客単価約3000円に対し、送料が0円になったり、500円になったりするわけです。
 当然、原価率も大きく変わります。

③通常の飲食店舗より、食材の管理が難しい

 私が経営していたデリバリー専門店は、これまでに記載した通りゴーストレストランです。ゴーストレストランとは、一つの場所で複数のお店の料理をつくり、デリバリーするデリバリー専門店です。そのため、料理数が極端に多くなり、食材の管理が難しいというデメリットがあります。
 複数店舗を経営するゴーストレストランは食材が多すぎるため、廃棄ロスが多く出てしまい、原価高騰の理由になりました。

フードデリバリーの原価率が高い理由

わたし
わたし

 私はデリバリー専門店以外にも数々の飲食店を経験してきましたが、32%~37%の原価率は少し高いですね。37%であれば、業態にもよりますが、経営に赤信号というお店が多くなります。

 フードデリバリー専門店の原価率は通常の飲食店よりも原価率が高い傾向にあります。
 その理由を解説します。

原価率が高い理由①容器にお金がかかる

 店内の飲食と違い、料理を入れる容器に費用が発生します。食器のように洗って再利用するのではなく、使い捨てになるからです。
 フードデリバリー業界では、この容器代も通常、原価に組み合わせて計算します。料理の提供時に必ず発生する費用だからです。
 また容器だけではなく、お箸、配達するためのビニール袋。必要であればオシボリやスプーン、フォーク、ナプキン等、店内の飲食では掛からない原価が発生します。
 私がフードデリバリー専門店で初めて原価計算をしたとき、この容器やカトラリー代が思った以上に高いと感じました。

 例
1200円のトンカツ弁当→容器代+カトラリー代 120円 
550円の鮭弁当     →容器代+カトラリー代 70円
2000円の牛タン弁当 →容器代+カトラリー代 180円
 

 上記の例のように、容器とカトラリー代で売り上げの10%を超えることが多々あります。

原価率が高い理由②見栄えがよくないと売れない

 フードデリバリーは写真が命といっても過言ではありません。
 チラシやネットの写真を見て注文されるのでライバルより写真が美味しそうでなければいけません。
 その為には、写真映えする食材を使う必要があります。ボリュームを売りにしたいなら量を増量、彩を良くしたいのであれば、季節の野菜を載せます。

わたし
わたし

写真が命なので、通常の飲食店よりも見栄えにこだわる必要があり、自然と原価率が高くなってしまいます。

原価率が高い理由③クーポンやプロモーションで売値が低くなる

 これは繰り返しになりますが、やはりデリバリー業態ではウーバーイーツや出前館に載せるクーポンやプロモーション費用が原価高騰の理由になります。

フードデリバリーで実際に掛かった人件費率

 人件費率も結論からお伝えします。
 私が経営していた店舗は33%~37%の人件費率です。
 こちらも、33%の月があれば、37%の月もあったということです。
 ただし、フードデリバリー専門店は営業の方法が大きく2つに分かれます。
 1.自分のお店で配達員を用意するか、2.ウーバーイーツや出前館に配達はすべて任せるかのどちらかです。
 このどちらの方法を選ぶかによって、人件費率は大きく変わります。

わたし
わたし

 フードデリバリーは自分のお店で配達するか、ウーバーイーツのような他社に任せるかで大きく人件費が変わるのがポイントです。

 もちろん、他社に任せた場合は、人件費の代わりに他社に支払う手数料が掛かります。
 私のお店は自社での配達を行っていました。そのため、手数料の代わりに人件費が多く掛かっていました。その人件費の内訳を記載します。
 配達員の人件費20% + キッチンで働く人の人件費15% = 平均約35%の人件費
 配達人員の人件費率が約20%、厨房で調理する人物の人件費率がそれ以外というイメージです。
 平均35%の人件費率は通常の飲食店に比べると、やや高い人件費率です。

フードデリバリーは人件費率が高くなってしまう理由

人件費率が高い理由①配達員の待機時間がある。

 フードデリバリーを経営して分かりましたが、配達員の待機時間の時給が大きな出費になります。

店長
店長

今日は配達員4人のシフトなのに、注文が全然入らない~

 気候や天気に左右されやすいフードデリバリーは注文が全くと言っていいほど入らない日が存在します。しかし、暇だからといって配達員を早上がりさせてしまうと、その後に売り上げを獲得できません。
 居酒屋やレストランであれば、早上がりさせた後の少ない人数でも、頑張って営業すればなんとかなるものです。しかし、フードデリバリーでは配達員がいなければ、注文をお断りするしかありません。

注文が入らず暇でも、アルバイトをなかなか早上がりさせづらいのが、フードデリバリー業の厳しいところです。

 

人件費率が高い理由②オーダーがあまり入らなても、配達員が必要になる。

わたし
わたし

 実際に営業して分かりましたが、当初の予定よりも配達員の人数が必要でした。
 ここから先は、フードデリバリーを始める前は気づかなかった人件費が大きくかかる理由を記載します。

※フードデリバリーを初めようと思っている人は必ずこの先を読んでください。重要なことを書いています。 
 フードデリバリーは1人の配達員が配達に出発する際、1か所の配達先では人件費の採算が取れません。なので、2件や3件の注文を持って数か所に配達を回ってから帰ってきます。
 しかし、暇な時間帯はこれが出来なくなります。注文が少ないと、タイミングよく同じ方向への注文が入りづらいからです。
 そのため1件だけ配達に行く配達員が増えてしまいます。
 しかし、少ない配達員の人数で営業していたら、反対方向に注文が入った時対応が出来なくなります。そのため暇な時間帯でも配達員を待機させる必要があり、多く人件費が掛かるのです。
 一日に20万以上の売り上げが取れれば、2件や3件の注文を一回の出発で配達して帰ってくることが可能でしたが、10万を下回るような売り上げであれば、同方向への注文が重ならず、1件ずつの配達が多くなります。結果的に同じくらいの配達員の人数が必要になり、人件費が高騰します。

フードデリバリーでは売上が少ない日でも、配達員の人数を減らしての営業が難しい。
 
わたし
わたし

ここまで読んでいただき、どうだったでしょうか?
今後、フードデリバリーを始めたいという方等で、更に詳しい情報が欲しいという方は、お問い合わせにてメッセージをください。出店のご相談であったり、有益な情報をお伝えします。

 

 ウーバーイーツや出前館に出店するだけで十分な注文が入るわけではありません。
 特にデリバリー業態が厳しい時期には、お客様にとってメリットのあるクーポン設定しなければ、なかなか注文をもらえません。

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