飲食店の人たちはこういった理由で辞めていく!リアルな退職理由7選

店長
店長

飲食店で働いているけど、もう限界だ

飲食店はこんな風に思っている従業員がたくさんいます。

実際、飲食店で働いている人の中に、

・過酷過ぎて、もう限界だ。

・こんなにきついのに、自分は何の為に働いているんだろう?と考えてしまう。

 このような人が、いらっしゃるのではないでしょうか?
 
飲食店は、労働時間の長さや、閉鎖的な環境から、心を病んでしまう人も多くいます。

 肉体的、もしくは精神的に、限界が来ていると感じた時は、絶対に無理をしてはいけません。

 限界が来る前に、ご家族や友人の方に相談し、場合によっては転職するべきです。

 この記事では、

・飲食店の退職率について

・飲食店の退職理由について

 この2点について、詳しく解説します。

 この記事を読むことで、自分は飲食店を続けるべきか、客観的に考えるきっかけになって頂けたら幸いです。

 私自身、飲食チェーン店を退職した経験があるので、リアルな情報をお届けできると思います。

飲食店の退職率は全産業でトップ!

 
 飲食業は最も離職率が高い職種です。

 下記資料は、厚生労働省が出している、産業別の入職率と離職率のグラフです。
 リンク https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/19-2/dl/gaikyou.pdf
(平成30年の資料しか見つかりませんでしたが、現在もあまり変わらないと思います。)

 

 グラフを見ると分かるように、飲食業の離職率は、トップです。

 離職率が少ない業種に比べたら、3倍近くの離職率ですね。

 辞めたいと思う人が多い業種ということです。

 では、具体的に飲食店の退職理由を見ていきましょう。

理由1 1日14時間が基本の長時間労働

 飲食店は、労働時間が長い仕事です。

 求人情報では、1日8時間勤務や、2交代制と書かれていますが、実際には、社員はオープン前の準備から出勤し、閉店後の片付けまで働く飲食店が多いです。

飲食店の勤務例

・居酒屋 
    開店準備のため昼15時に出勤。朝5時まで営業し、片付けが終わる朝6時まで勤務。
   【1日/14時間 (休憩1時間)】

・ファミリーレストラン(24h営業)
   深夜勤務のアルバイトとの交代で朝6時に出勤。遅番と交代の21時まで勤務。
   【1日/14時間 (休憩1時間)】

・ごはん屋さん(食堂)
   開店準備のため朝9時に出勤。夜22時まで営業し、片付けが終わる夜23時まで勤務。
   【1日/13時間 (休憩1時間)】

・長時間労働の現場の声

新入社員
新入社員

労働時間が長いとは聞いていたけど、実際に働いてみると想像以上に過酷だ…

長時間労働が理由で退職していく社員の多くは、新入社員

・話には聞いていたけど、実際に働いてみると、想像以上にきつい。

・予想していたよりも、プライベートな時間や家族との時間がなくなった。
 働いてすぐのときは、こういうギャップに苦しみます。

 また、慣れないうちは、多くのことに気を遣いながら仕事をするので、脳が疲れます。その上、体もよく動かすので、とにかくエネルギーを使います。

 新人のうちに、「2カ月で10kg痩せた」なんて話も聞きます。

ベテラン従業員が長時間労働が理由で退職するケース

・新店のオープンの責任者になり、お店が忙し過ぎて休む暇がなくなった。

・人手不足になり、休む暇がなくなった。

・長時間労働には慣れているが、結婚や子供が生まれたのをきっかけに、他の仕事に転職。

・年を取り、長時間労働がきつくなった。

このように長時間労働に慣れていた人も、環境が変わり、長時間労働が理由で退職するケースがあります。

・長時間労働になるのは何故!?

 では何故、飲食店では長時間労働があるのか見ていきましょう。

①慢性的な人手不足

  平成30年に、農林水産省が調査を行った資料です。


 (少し、古いデータですが、現状もあまり変わらないと思います。)
 https://www.maff.go.jp/j/shokusan/kikaku/hatarakikata_shokusan/attach/pdf/04_haifu-11.pdf

 欠員率が全産業と比べて、2倍以上高くなっています。

 この欠員率というのは、常用労働者の数に対して、補充できなかった人数の割合です。
 
 ※「今日は5人で営業したかったけど、4人しか集まらなかった」という日が、飲食店の場合、他産業よりも2倍多いということです。

 このことから、飲食店が慢性的に人手不足だと分かります。

②突発的な欠員

 飲食店は、複数人のアルバイトで営業するので、どうしても急な欠員が出ます。

 急な欠員には様々な理由がありますが、

・風邪、怪我
・身内の不幸
・急な課外授業
・ダブルワークの片方の仕事が終わらない
・友達に遊びを誘われ、嘘をついて休む

 アルバイトにこういったことが起こると、急にアルバイトが休むことになります。

 うまく代わりのアルバイトが見つかればいいですが、見つからなければ社員が働くことになります。

 もともと休みの予定だった日に、仕事が入るわけですから、予定よりも労働時間が長くなります。

③暇なときと、忙しいときの差が激しい

 飲食店には繁忙期(決まって忙しい時期)があります。

 例えば居酒屋の繁忙期は、歓送迎のある3月と4月、忘年会のある12月です。

 逆に人出が少ない2月は閑散期(決まって暇な時期)です。

 極端な店舗だったら、この繁忙期と閑散期の売り上げが2倍以上差があります。

 忙しいときにだけ、人を増やすというのが難しく、どうしても繁忙期に残業時間が増えてしまいます。

④残業を前提に仕事を割り当てられている


 飲食店で一番多く掛かる経費は人件費原価材料費(料理の材料です。

 そのため、人件費を極力抑えたいと会社は思います。

 会社は十分な人をあえて雇わずに、仕事量に対して、少ない人数で仕事をさせる場合があります。

理由2 飲食店は残業代が出ない!?(サービス残業)

 
「長時間労働も残業も平気だけど、残業代が出ないから辞めよう。」

 こう考えて退職する人も多くいます。

 すべての飲食店ではありませんが、残業代が出ない飲食店は多くあります。

・サービス残業とは

 飲食店がいくら長時間労働でも、残業代が出ていれば、それはサービス残業ではありません。

 サービス残業とは、働いたのにお金がもらえない残業時間のことです。

 時間外労働ともいいます。

・飲食店にサービス残業が多いのは何故!?

①飲食店は儲からない商売だから。

 
 とても儲かっているという飲食店は世間に多くありません。

 それは、飲食店の利益率が低いからです。

 順調な飲食店の利益率は一般的に、10~15%と言われています。

 これは、世間の優良企業と比べて低い利益率です。

利益率は、売り上げに対して何%が利益(儲け)になっているかという数字です。
 もう一つ、こんな資料があります。
 

 これは、農林水産省から出てる産業別の一人当たりの労働生産性です。

 飲食店が最も低いのが分かります。(古いデータですが、今も大きく変わりはないと思います。)

労働生産性とは一人当たりが生み出した成果や付加価値です。分かりやすく飲食店でいうと、一人あたりの労働者がどれだけ、利益を生み出しているかということです。
 労働生産性が低いということは、それだけ利益が出づらい商売だということです。
 
 ここまでで飲食業は利益が出にくい業界だということがわかりました。
 
 そして、この利益を出すために最も気を付けないといけないのが、原価材料費(料理の食材費)と、人件費と言われています。
 
 この2つをなんとか下げることで、営業が成り立っている飲食店は数多くあります。

 その為、飲食店は他の業界よりもサービス残業が多くなります。

②ひと月にMAX働ける時間が決まっているから

 飲食店は会社によって、「ひと月に何時間までは働いていいよ」っていう労働時間が決められています。

 その労働時間を超えると、怒られたり、ペナルティを受ける場合があります。

 私が働いていた会社では両方でした笑

 だから、働く側は、その労働時間を超えないように働かないといけません。

 しかし、繁忙期や人手不足だと、それがどうしても出来ない場合があります。

 そういったときに、会社に内緒で、タイムカードを記録せず働くことがあります。

理由3 本人の不祥事(パワハラ、セクハラ、盗難)が多い!!

 2015年のものですが、厚生労働省から出ている衝撃的なデータがあります。

 産業別の退職理由の統計データです。↓

 これを見てください。全産業の中でも異常なほどに、飲食店は本人の責による退職が多いです。

 資料にも書き加えましたが、「本人の責」とは、会社が解雇出来るくらい大きな問題を起こしたということです。

 飲食店でよく起きる大きな問題は、

・パワハラ

・セクハラ

・盗難(横領)

 この3つです。実は、私が働いていた会社でも正直よくありました。

飲食店で不祥事が多い理由

①閉鎖的な環境

 飲食店は一つの店舗に、何人もの社員がいることはほとんどありません。

 店舗に社員は、店長一人だけということもよくあります。

 大体の仕事は、同じオフィスに複数の社員がいるので、不正やパワハラを防ぐことができます。

 しかし、飲食店では、一つの店舗に限られた人数の社員しかいないので、不正が横行しがちです。

 それは、レジ金の盗難(横領)だけでなく、アルバイトへのパワハラやセクハラも含みます。

②人手不足で、人材を選べない

 飲食店は、他業種に比べると圧倒的に人手不足です。

 そのため、従業員の採用で、人材を選ぶことが難しくなっています。

 面接で多少問題がありそうに思っても、とりあえず採用という会社もあります。

 やはりそうなると、もともと問題のある人物が、飲食店で働くことが多くなります。

理由4 成績(売上、原価、人件費)のプレッシャーがきつい! 

店長
店長

今月は、売り上げも利益も悪い。上司に怒られる…

飲食店店長は、売り上げや利益の成績を求められる職業です。

 成績が悪いと、仕事を辞めたくなるのは、どの職業でも同じです。

 飲食店でも、このプレッシャーがつらくて、辞めていく人が多くいます。

・売り上げ
・人件費
・原価(料理をつくる食材費)

 店長は、主にこの3の成績が求められます。

 この3つの成績を意識しながら日々の仕事を行うのは、容易なことではありません。

コロナにより売り上げが下がったときは、人件費で頭を抱える店長が多かったです。
アルバイトは「バイトを入れて欲しい」、会社からは「売り上げが悪いから人件費を使うな」と言われ、板挟みになったからです。

理由5 給料が低い!飲食業の平均年収353万

2020年、小売り/外食の平均年収は、353万円です。

全業種の平均年収は441万と言われているので、低い数字です。

退職者
退職者

労働時間は長いのに、給料は低いから辞めた!

こんな人も多くいると思います。

ただし、会社や役職によっては、高い給料を狙うことも可能です。

私が就職していた会社は、色々とブラックな面はありましたが、20代で、全業種の平均年収を超える給料をもらっていました。

理由6 飲食店は休みが少ない!年間休日日数、100日以下!

・厚生労働省の調査によれば、宿泊、飲食サービス業の年間休日日数は97.7回です。

全産業の平均は112~122日程度と言われているので、平均より少ない日数です。

・休日が少ない職種ランキングでは、コンビニに次いで、2位です。
 休日日数は、大企業ほど多く、小さい企業になるほど少ない傾向があります。
 
 調査によると、上記の休日日数ですが、実際に私が働いていた飲食店(大企業)はもう少し休みが少なかったです。
 例:私が働ていてた居酒屋(大企業)
  ・基本、週2回休みと、週1回休みが交互。年末年始等の繁忙期は休みなし
   ➡計算すると、大体80日くらいの休みです。
 
  ・マネージャーの人たちは、更に休みが少なかったです。
 ※補足しておきますが、上記の例がすべての飲食店に当てはまる訳ではありません。
 
 多くの飲食店を見てきた中で、週2回しっかり休んでいる飲食店もあります。
 週2回休むと、年間休日数は104日になります。それにプラスで長期休暇の取得を義務づけている会社もありますので、そういった会社は全産業の平均休日日数に近いといえます。
 つまり、休日日数は会社によって大きく異なるということです。

理由7 アルバイトとの人間関係に悩む

・アルバイトの態度が反発的だ

・アルバイトに注意するのがこわい

こういった悩みを抱えて退職していく店長も多くいます

アルバイトとの人間関係が難しい理由

 飲食店社員がアルバイトとの人間関係に悩むのには、店長の力だけではどうしようもない、難しい理由があります。

①店長になるのが早い

 
 飲食店でに入社して3カ月で店長というのは、珍しくありません。

 理由は人手不足です。離職率が高い職業なので、どこかの店で急に人手が足りなくなるということがよくあるからです。

 そうなると、「まだ少し早いけどあいつに店長やってもらおうか」ということになります。

 未経験者が3カ月働いただけでは、やはり十分なスキルは身についていません。

 それでも数年~十数年働いているアルバイトがいるお店を、店長として仕切らなければなりません。

②異動が多い

 飲食店は退職が多いので、その分、異動も多くなります。

 また飲食店では同じ店舗にずっといると、仕事がマンネリ化してしまったり、不正が増えてしまうことから、多くの飲食チェーン店が3年以内に、店長の交代を決めています。

 (従業員が少ない会社は、異動が減ります。)

 せっかくアルバイトと良い関係が出来ても、異動になると、また1から関係作りをしなければなりません。

③ベテランアルバイトの存在

新人店長
新人店長

ベテランのアルバイトさんはよく仕事が出来て助かるけど、

すごく注意しづらい雰囲気がある

敵に回すと大変そうだ…

 新人のアルバイトは比較的素直なので、店長や社員の言うことを聞いてくれます。自分の仕事に自信がないからです。

 しかし、ベテランアルバイトは長く働いているので、仕事にプライドがあります。

 また、新人店長に比べると、よっぽどベテランアルバイトの方が仕事がが出来るということもあります。

 そうなると、ベテランアルバイトさんに直して欲しいことがあっても、なかなか言いづらくなってしまいます。

まとめ

 ここまでが、飲食店従業員の多くが仕事を辞めていくい理由7選です。

 今、既に飲食店で働いていて、退職を悩んでいる人は、是非参考にして、客観的に自分の状況を分析してみてください。

 くれぐれも、肉体的にも、精神的にも無理をなさらないよう気をつけてください。

 また、飲食店の就職を考えてこの記事を見てくださった方にも、参考になれば、嬉しい限りです。

 


 

コメント

タイトルとURLをコピーしました